間違い探し!! ~G1000とリバリーを跨がる小ネタ~ MSFS
これまでもしばしば、Microsoft Flight Simulator 2020のG1000(小型機用グラスコックピット)やリバリー(塗装)について書いていますが、今日は両方に跨がる話です。
MSFSでG1000で飛んだことがあるシムパイロットの皆さんは、色々とおかしなところに気付いていると思いますが、そんな中でもずば抜けてどうでもいいバグ(?)フィクスの話題をお届けします。
まずは間違い探し
以下のふたつの画像を見比べてみてください。視点をぴったり一致させなかったのでノブ等の立体感の違いは無視して、1か所違いがあります。さて、どこでしょう?
わからないという方、こういう作業は脳に良いそうですから、ちょっと頑張って探してみては如何でしょう。(ゆうべ何食べたっけ?…とかも良いらしいですが、私はどちらもイラッとくるので嫌いです)
はじまりはいつも操作ミス
この不具合に気がついたのは、G1000の使い方がまだよくわからなくて、手探りで高度計規正値をセットしようとした時でした。
CRS◎BAROという刻印を見つけた私はその上のノブを回しましたが、規正値は変わりません。刻印の下のノブを回すのが正しかったのですが、よく考えると私が間違えたのには理由がありました。
CRS◎BAROの刻印の上のノブは、ベゼルの右側のいちばん上のノブ(小さな音量ノブを除く)で、しかも刻印が無かったのです。全体を見ると上からノブ→刻印→ノブ→刻印…となっているので、反射的に上のノブを回した訳です。
G1000@MSFS史上最弱の不具合
実は以前の記事でも括弧書きで触れているのですが、MSFSオリジナルのG1000は、COMラジオの周波数ノブに刻印がないんです。「お前誰だ?」って感じ。今風だと「君の名は?」でしょうか(ちょっと古)…
気がついてしまえばそのノブがCOMラジオだということはニワトリでもない限り二度と忘れないので、敢えて刻印を修正する必要はないのですが、私はムダなことが大好きですから、「直せないかなぁ…」と考えました。
ここから塗装の話
以前USエアウェイズの塗装を自作した経験で、MSFSのリバリーデータの構造はなんとなくわかっていました。
MSFSでは機体の塗装だけでなく、計器やスイッチ類、座席の素材や窓の指紋汚れに至るまで、すべてマッピング用の画像データを持っています。
このベゼルも画像があるはずですが、最初はなかなか見つかりませんでした。
TEXTURE.CFG
各機体のTEXTUREフォルダには、必要な画像が無かったら「この順番に別なフォルダを見に行け」というファイルがあります。
それぞれのTEXTURE.CFGが置かれているフォルダからの相対パスで書かれていますが、MSFS内部の仮想ファイルシステムのパスなので、PC上のパスとは一致しません。(PC上の4階層上のフォルダにはtextureというサブフォルダが無い)
そこで、textureというフォルダの下に、Gauges、AS1000、detailMap…がある場所はどこかと、しらみつぶしに探したところ、4階層上はOfficial\OneStore\fs-baseを指していることがわかりました。
ちなみにネットで公開されているリバリーのTEXTURE.CFGには大抵2階層上というパスも登場しますが、MSFSの内部では2階層上にすべての機体のSimObjects\Airplanesフォルダの中身が見えていますので、他の機体のテクスチャを見に行かせることができます。
今回のようにOfficialの機体にちょっとだけ手を加えるとき、変更しないファイルはOfficialの下を見に行くように以下のような記述ができます。(Asobo_C172sp_AS1000はOfficialのC172のフォルダ名です)
fallback.1=..\..\Asobo_C172sp_AS1000\TEXTURE
刻印のテクスチャファイルはまとめられていた
次につまずいたのは、ベゼルのテクスチャには刻印がひとつも無かったことです。刻印はデカールとして別な画像にまとめられていて、ベゼルの上にペタペタ貼り付いているようです。
そこで、デカールの画像が悪いのか、そもそも貼り付け忘れているのかを見極めるため、デカールの画像をマゼンタで塗りつぶしてみました。
スクリーンショットを後から撮ったので、COMの刻印が見えてしまっていますが、マゼンタになっていないということはデカールが貼られていないということです。
貼られていないデカールを貼る方法は見当もつきませんでしたので、ベゼルに直接「COM」と描くことにしました。
同じ部分の目的別画像がある
ベゼルの画像はすぐにみつかりました。同じような名前で最後の方だけがちょっと違うファイルがありますが、開いてみると色合いで、「ALBD」と付いている画像をいじればよさそうだとわかりましたので、COMの刻印を(何故か鏡像でしたが)描き足して再起動したら、案の定刻印を追加することができました。
が、なにやら白さが違います。他の刻印はニュービーズで洗った新しめのシャツみたいに白いのに、COMだけちょっとくすんでいます。「ま、仕方ないか…」と思って使っていたら夜になり、重大なことに気がつきます。
刻印はパネルの照明をつけると光りますが、COMはベゼルに描いただけなので光りません。
MSFSのテクスチャは、同じ場所に貼る画像が目的別に4種類ほどあります。
ALBD | 色をマッピングする。 (明るいときに見える状態に近い) |
COMP | 反射特性をマッピングする。 (翼などの金属の銀色やタイヤの黒はこの画像で反射特性を指定している) |
NORM | 未確認 (ご存知の方は是非コメントで教えてください) |
EMIS | 発光をマッピングする。 (光を発するものにはこのタイプの画像で光り方が指定されている) |
ということで
EMISにも同じようにCOMの刻印を追加して、目出度くCOMラジオの周波数を変更できるようになりました。
ただ言うまでもなく刻印がなくても周波数は変更できますし、ご存知の通りATCウインドウにはハンドオフ先の周波数のボタンも出ますので、このノブで周波数を変えることは私自身ほとんどありません。
G1000三兄弟
ほっとしたのもつかの間、同じG1000を積んでいるビーチクラフトの機体でこの刻印が表示されないという事態が発生しました。調べてみると、MSFSのG1000にはいくつもパターンがありました。
そもそも..\..\..\..\texture\AS1000を見に行っていないG1000搭載機もありますが、こちらはそもそも問題がないので除外すると、3パターンあることがわかりました。
C172のG1000には、PFD(左画面)にもMFD(右画面)にもオートパイロットのボタンが並んでいます。ところがビーチクラフト機のPFDにはオートパイロットのボタンはなく、ALTノブもありません。(何故かHDGノブだけはある)
もう1パターンはセスナの208Bグランドキャラバンです。この子はジェット旅客機のようにFCUが別にあるので、HDGノブもないという違いです。
この違いのためリバリー側では3種類のテクスチャ画像を持っていましたので、3×2(ALBDとEMIS)の6ファイルにCOMの刻印を描き足し、本来C172には他の2種類は要らないのですが、使われないだけなのでフォルダに格納しておいて、C172以外からはTEXTURE.CFGのAS1000フォルダの直前にC172を見に行くように書き足すことで、すべて問題が解消しました。
いつもより余計に回しております…
ところで、G1000の話に戻りますが、COMラジオの周波数をノブを使って合わせようとすると、昔よりイラッとしませんか?
ここ10年以内くらいの話だと思うのですが、航空無線の周波数の刻み*1が小さくなったのです。
どうやら欧米でチャンネルが枯渇してしまったらしく、昔は25kHz刻みだったCOMラジオの周波数が、今は8.33kHz刻みになったので、昔の3倍回さないと目的の周波数にたどり着きません。
赤いノーマルスーツもないし
飛行機に角もついてないので、3倍回すのは辛いのですが、私が調べた限り日本ではまだチャネル間隔の変更は実施されておらず、8.33kHz刻みの航空無線局はありません。なので日本で飛んでいるぶんには、昔の25kHz刻みの方が楽です。
G1000ではこの刻みを25kHzに戻すことができます。(標準気圧ソフトキーは実装してないのにこんなとこ実装してある(笑))
MFD(右画面)のFMSノブの外側をカチカチ回していくと、そのうちAUXページグループのSystem Setupページが表示されます。このページにはCOMラジオのCHANNEL SPACINGという項目(だけ)があり、ノブをプレスすると反転点滅して変更できます。(変更はFMSノブの内側)
私はSaitekのラジオパネルを持っているため、ここの設定がラジオパネルのノブにも効いてきます。おかげで実体のノブでCOMをチューニングするときには助かりますが、なんだかんだ言ってハンドオフ先のボタンを押す方が楽で、最近はついぞノブで周波数を合わせたことがありませんとさ。めでたしめでたし。
COM刻印追加リバリー
ということで、長々説明した結果をどこかに置いて皆さんにも使えるようにしようかとも思ったのですが、はてブロってZip上げられない感じですかね?
【2020/11/16追記】ちょっと調べたら、やはりはてブロには画像以外はアップできなかったので、Dropboxにアップしました。ご入り用でしたら以下からダウンロードしてください。C172以外の飛行機にCOMの刻印つきテクスチャを適用するバッチファイルも含んでいます。(Officialのファイルは一切変更しません)
https://www.dropbox.com/s/v4cclxl3m1l51cc/Sabaoh-livery-c172sp-as1000.zip?dl=1
*1:チャンネルスペーシング(チャネル間隔)と言います